LOVE SOME STORY

第二話

自分がいいと思うものは、
自分で作るしかない。

好きなものも、みんなと違った。

サッカー選手の話題になると、みんなはカズ(三浦知良)が好きだと言った。僕はアルシンドが好きだと言うと、まわりからバカにされた。ドラゴンボールのカード集めが流行っていた時も、みんなは悟空が欲しいけど、僕はピッコロが欲しい。だからすぐに交換してもらえるのだけど、あんまり尊重はされなかった。素直に自分が「好き」と言うだけで、まわりを困らせてしまうことがしばしばあった。

高校生になると、欲しい服が売ってなかった。ときどき雑誌とかを見て、めっちゃ着たい!と思う服があっても、めっちゃ高くて、絶対買えなかった。

また自分がしたいと思ってやった髪型が目立ってしまい、別に不良でもないのに、先生に怒られたこともあった。

よくわかんないな、悲しいなと思っていたけれど、とはいえ「みんながこっちがいいって言うから、じゃあ僕もこっちにしよう」とはならなかった。

それは、お父さんが「それでいい」と言ってくれたからだった。

お父さんといえば、思い出したことがある。辰吉丈一郎の、前髪とサイドを短く刈り上げ襟足を延ばした髪型を見て、自分が「あれ、カッコいいな」と言った。するとお父さんはやれやれと、面白がってくれたのだ。

そういう感じでまわりとは違っていたので、自分がいいと思うものは、自分で作るしかない。という考えに、どんどんなっていった。